食環境難民

 筆者の造語ですが、‘食環境難民’という問題意識を提起します。
 食環境とは、本物の食を日常的に獲得できることを可能とする環境としました。
 例えば、ホームレスや貧困児童など食そのものの経済的な環境だけではなく、富裕層にあっても、美食に走り偏食によって、本物の食を取れていないことも食環境難民です。このように、‘食育’の視点から、ひろく食環境を考えてみたいと思います。
 医食同源といわれますが、アルツハイマー型認知症も、投薬・運動療法・食によって進行を遅らせることが可能です。

 食環境という枠組みは、地産地消による安全な食材を六次産業化することで地域自立の途がありそうです。しかし、過度な除草剤の配布による食環境の悪化も危惧されます。

 本邦の食は、安全だとされますが、安心できる食材も乏しくなっています。
 例えば、コンビニの食糧は、便利ですが、安心して子供が食せるものとはいえません。
 中山間・島嶼部でも、単一の食材は収穫できても、スーパーに依存した食環境です。

 斎藤俊幸氏は、かって、‘買い物難民’という用語を使用しました。
 まさに、買い物難民は、都心部でも地元スーパー閉店によっても発生しています。
 ‘本物の食い物’は、自ら探し出して、場合によっては、自ら作ることが必要となりました。
 
 具体的には、青森県のむつ市のみちのく荘は、真空加工などを工場化して、安心の弁当・食材を提供しはじめました。
 青森県おいらせ町のアグリの里は、地産地消で観光農園を展開しています。
 経営主体は、両事例ともに特別養護老人ホームです。
 ただ、施設経営をする時代は終わりました。
 介護報酬の減額を嘆く前に、やるべきことがあります。

 食と農と福祉の連携は、過度な行政依存体質からの脱却です。
 自立・自律が基本に据えられる必要があります。
 もちろん根本的な行政責任は放棄されてはなりません。
 このような視座で、食環境難民の問題を考えていきたいと思います。

 年が明けて、1月29日には、
 農林水産大臣賞を受けた青森県おいらせ町のアグリの里は、祝賀会を予定されています。記念講演をさせていただきます。