市電と地域福祉

『チンチン電車』と呼ばれて、親しまれていた市電は、高齢者・児童学生・障碍児者・子育てなど交通弱者にはたいへんに便利である。地域福祉の視点から福祉の街づくりには不可欠なのかもしれない。安心して移動が可能である街は、自家用車やバスに比較して、市電はスローライフとコンパクトシティの視点からも有効である。

基本的に、市電(しでん)とは市営電車の略称で、市営の路面電車のことであると,一般にいわれているが,元々要するに「市」を走っている路面電車の略称である。市街電車・市内電車の略の意味で市営でない路面電車のことまで市電と呼ぶことがある。

1903年(明治36年)に開業した大阪市の大阪市電が日本初の市電である。開業した年次は京都市・名古屋市・東京市となるが、当初は民間会社として発足し、市営化されたのは大阪市電の開業よりも後となる。最初から市営として開業した例は大阪市・仙台市・川崎市・熊本市のみで、他は民間会社を買収したものである。富山市も始まりは民営であったが、後に市営化されて「市電」となった。 注目している市電に、富山市内軌道線(とやましないきどうせん)があり、富山市内で富山地方鉄道が運営する軌道路線(路面電車)である。

コンパクトシティとしての富山市は福祉の街の代表格である。この市電が果たす街づくりの意味を考えてみたい。具体的には、‘このゆびとまれ’という共生型の空間として設立されたのも市内である。この実践は、市内から富山県、さらには滋賀県広く広まっている。このように、安心して老後を過ごせる街として、優しい街づくりを富山市行政も行っている。この市電があることによって介護空間として日常空間に存在することとなり、地域密着型福祉サービスや地域包括サービイの展開がされていて評価できる。