社会保障のリアリティの ①

このブログで、これから数年をかけて社会保障制度の持続性や可能性を考えてみたい。とりあえず、社会保障のリアリティについて、基本的な問題意識を考えることから始めたい。

今日的な社会の変動要素について整理をした。それは、今の社会は基本的に、 ① 人口変動  ② 気候変動  ③ 地殻変動という変動要素が第一にあると仮説をたててみたい。このことを説明すると字数を要するので、今後少しづつ説明することで次に進みたい。ただ、この変動は、21世紀の中ごろに顕在化することとなる可能性が高いということである。

一方、我が国は世界に類のない少子障碍化社会を迎えている。障碍という意味は、高齢化によって生じる介護ニーズなど社会的に援助を要することを意味している。この障碍化によって、高度医療・生活保障・介護保障など社会保障予算は、肥大化することとなる。

また、我が国の国債などの借り入れ残高が1000兆円を超えていることがある。さらに、今の社会保障水準を維持継続すると、今後毎年1兆円を超える予算を必要としている。このことは、毎年、約30兆円の国債を発行しなければ維持できないことを意味している。また、借入金の返済もされなければならない。財務省の数字統計では、現行の社会保障制度を維持継続するためには、あくまでも、推計である。その維持経費の租税額を、現行の消費税で負担しようとすると30パーセント程度として説明がある。

このような我が国の社会における課題を経済変動として説明してみたい。経済政策と社会政策を展開することが行政機関の役割である。経済変動とは世界的なグローバリズムの展開と、国家独占資本主義の仕組みが崩れていることを背景として、我が国の一国独占資本主義の仕組みが壊れたことを意味している。我が国の体質として、護送船団方式という国家丸抱えの規制の仕組みは、世界的な経済変動によって改革せざるをえないこととなった。しかし、その改革も中途半端にしか推移していない。経済変動は、単純な生産手段は、低賃金発展途上国へと移行して、日本のもの造りのシステムは空洞化していくこととなる。資源のない日本は貿易立国として戦後取り組んできた。このことが揺らいでいるといえる。経済変動は、このような世界的なグローバリズムによって、我が国は経験したこととがない変動要素として直面することとなった。

前記した① 人口変動  ② 気候変動  ③ 地殻変動に加えて、④ 経済変動という要素を加えて社会保障のリアリティについて整理してみることから、このことを足がかりとして説明をしていくこととなる。

このような① 人口変動  ② 気候変動  ③ 地殻変動 ④ 経済変動という要素によって、今日的な社会保障の戦後の到達点を維持して、継続をしていくことが困難となっているという認識をする必要がある。このままでは、社会保障のセーフティネットの底が抜けてしまい、現行の医療システムや年金システムや介護のシステムを維持できないことを意味している。国家はその対策として 『税と社会保障の一体改革』という国家のプロジェクトを進めてきた。しかし、前記した変動要素によって、本来、抜本的に改革を進める必要があるはずであるが、現実は進められているようには考えにくい状況にある。

今回の社会保障のリアリティの①では、問題の枠組みとして説明してみた。今後は、社会保障のリアルティの②以後考えてみたい。

基本的な社会福祉の将来については拙著『コミュニティケアと社会福祉の地平』(相川書房2013)にて説明をしている参考にしていただければ幸いである。