社会サービス法

欧州では、英国が1970年に社会サービス法という包括法として、社会福祉を広く人の生活を網羅して援助する法体系とした。その後もスウェーデンやデンマークなど多くの国で個別法から社会サービス法へと改革を進めてきた。

あわせて、英国では、1990年に、「NHSとコミュニティケア法」へと、国民の医療・保健・住宅・教育の一部に、社会福祉を包括的に一本化する法体系に改組している。

我が国の社会福祉は、他国に比べて狭矮であって、多くの既得権益が存在している。その上に、対象者ごとに法律が縦割り法としてあって、合理的で、包括的な支援を実施することを困難なこととしている。各対象者ごとの縦割り法律は、多くの非効率を生む岩盤の温床となっている。

しかも、我が国にしかない社会福祉法人という独占業態は、家族経営、低賃金で職員を雇用し、法人には内部留保金が17000前後あるすべての法人で数兆円あるとされている。このような古色にまみれている社会福祉法人が独占に近い組織として残存する仕組みは、社会サービス法へ修練されることでしか変容されないといえる。